アナン発言の功罪
「常任理事国、一つは日本」アナン氏発言 報道官は訂正(asahi.com)
国連安保理の常任理事国入りを目指す日本(というより外務省)にとって、アナン事務総長の発言は心強いものだろう。ある世論調査では常任理事国入りには7割近くの人が賛成しているという。1956年の国連加盟から60年が経とうとしている中で、国連における日本の発言力は確かに低い。日本の国連運営への分担金は約20%でP5(米・英・露・仏・中)のそれを上回り(米より実質多く、他4カ国の合計よりも多い)、いわば「世界のパトロン」であり、PKOや多国籍軍への参加で国際貢献の「実績」もぼちぼち出来てきたので、「世界の中で日本の役割を果たしたい」としながら、ここらでカネだけ取られてクチはあまり出せない現状を打破したい、というのも頷けない話ではない。
とはいえ、アナン発言によると拒否権が与えられないらしい。これでは有名無実、「骨抜き」である。また、集団的自衛権発動時の憲法9条とのコンフリクトについて、日本国内での然るべき議論と国民への説明が不足している現状では、アナン発言を手放しに歓迎するのはあまりに短絡的ではないだろうか。2次大戦敗戦国で今回の理事国入りが論じられる日本とドイツの比較においても、戦後責任を認めてEU内での共通歴史認識に立ち、今もユダヤ人や東欧の人に補償を払い続けるドイツと、公式には周辺諸国への謝罪は行わず、公共放送の従軍慰安婦問題のTV番組に政府与党が圧力を掛けて内容を変えさせる様な日本では、ベースとなる「資格要件」の面で不足の感を禁じ得ない。
また、安保理入りするということは、様々な国際問題に対して、「日本の見解」を示さなければならないということである。通常は米国追従で良くても、時には米国と見解を異にするケースもあるだろうし、得意の「先送り」は許されない。領海内で隣国に天然ガスを掘られても、領有を主張する島に隣国が軍隊を駐留させても、敗戦国の引け目か、顔色を窺って何もしない(できない)国には荷が重過ぎる仕事ではないか。
「時期尚早」の一語に尽きると思うが・・・。
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